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痛風・尿酸が気になる人へ捧ぐ3つの予防法

痛風に関するしらこ
池田 昇平
サッカーとバレーボールを愛する管理栄養士です! 病院で病態栄養士として勤務しながら特定保健指導にも携わりました。 現在は多くの人が健康を考えるキッカケになれるよう活動しています。 会社HPはこちらFacebookはこちらTwitterはこちら

投稿日:2016年5月9日 更新日:

ビールと尿酸

みなさん、飲み会は好きですか?

職業柄、色んな所で食事についての質問をいただきます。
若い人からも多い質問が「尿酸を下げるにはどうしたらいいか、何を食べたらいいか?」です。
あなたも同じような疑問を抱いたことはありますか?

よく耳にするようになった「尿酸」ですが、健康診断の結果で「高い」「低い」だけを見ている人が多いように見受けられます。
そもそも尿酸は何のために存在しているのか、どれだけ検査値が上がると体に害を及ぼすのか、などが多い。
本記事が健康や生活習慣、食事を見なおしてくれるきっかけになると嬉しいです。

今回は痛風の原因と特徴を知り、予防方法とコツをお伝えいたします!

痛風の原因と尿酸


そもそも痛風はなぜ起こるのでしょうか?という問いにはほとんどの人が答えられると思います。

答えは「尿酸」ですね。それでは尿酸が痛みに繋がる原理についてはご存じですか?

孫氏の兵法による言葉を引用すると

「敵を知り己を知れば、百戦危うからず」というものです。

つまり、痛風や尿酸のことをしっかり知ることができれば痛風と上手に付き合い予防も簡単!ということです。
まずはしっかりと痛風、尿酸について把握し、それからその尿酸の管理方法を見ていきましょう。

痛風とは

痛風の痛みに悶える男性

そもそも痛風は風が吹くだけでも痛みが生じるほど痛い!というのが病名の起源の一つと言われています。
血液の中の尿酸が針状に結晶となり、特に関節(足のゆび、特に親指の第一関節のあたり)に激痛が走るという症状が有名です。
経験者によると「もうあの痛みは経験したくない」という方もいらっしゃいますし、予防のために30年薬を使い続けている、という方も実際にいらっしゃいました。
それだけの痛みと恐怖を与える尿酸の結晶は血液中のpH(酸性かアルカリ性か)によって固まりやすさが変わってきます。

固まりやすさについては動画もありましたので見てみてください。
動画はこちら:日本ケミファ株式会社)

pHが下がり酸性に近くなると尿酸は溶けずに結晶化するんですね。
(pHの中間は7で、血液は通常pH7付近でバランスが取られています)

尿酸とは

そんな尿酸は一体どこからやってくるのでしょうか?増える理由がわかれば予防することも簡単になりますよね。

その正体は、体を構成する細胞の遺伝子(DNA,RNA)が分解される時の「老廃物」とエネルギー物質であるATPの「燃えかす」なんです。
わたしたちの体内では毎日細胞が死んでは生まれる代謝が繰り返されています。
その代謝をするためにもエネルギーが必要となりますので、老廃物と燃えかすは必ず出ます。
それらは血液中に溶けた状態で腎臓でろ過され、尿として体の外に出て行きます。

老廃物とか燃えかすとか痛風の原因とか聞くと「尿酸は悪者、ゴミ」という印象を受けてしまいますが、決してそんなことはありません!
尿酸にもいいところがあるんです!

それは「抗酸化作用」です。

尿酸の抗酸化作用イメージ

抗酸化作用をもつ抗酸化物質は、人の体の中でおこる酸化的ストレスを抑制するものです。
酸化的ストレスが蓄積すると、老化、血管の障害、脳などの神経細胞の障害など多くの好ましくない状態を作り出します。
抗酸化物質はこれらを抑制する作用を持っています。
例えばビタミン
Cは典型的な抗酸化物質としてよく知られています。
実は尿酸がもつ抗酸化作用はビタミン
Cよりはるかに強力なのです。

 そんな尿酸の抗酸化作用を示唆するような報告がありました。アルツハイマー病やパーキンソン病の人の血中尿酸値を測ってみると「低かった場合があった」とのことです。
つまり尿酸がもつ抗酸化作用が不足すると老化を早めてしまい、神経疾患の原因を作ってしまうというのです。
このことを考慮すると、尿酸がもつ抗酸化作用は人体にとって必要なものだと感じます。
ただし血中尿酸値が高すぎると痛風の原因となってしまいますので、血液中の尿酸値やphはバランスをとることが重要なんですね。

 

尿酸のコントロール方法は3つ

尿酸の量やphを操るには3つのことに気をつけることをオススメしています。
それは「体重のコントロール」「食事のコントロール」「水のコントロール」です。


体重でコントロール


痛風とダイエットの関係

それでは痛風を予防するための尿酸値が上がらない工夫の一つ、体重コントロールを見ていきましょう。

本当に体重が増えたら尿酸値は高くなるの?

そもそも体重が増えたら本当に尿酸値は高くなるのでしょうか?
研究結果がいくつかありましたのでご紹介いたします。
下の図では内臓脂肪と尿酸値の関連を調べています。
結果は内臓脂肪が増加すると尿酸値も増加するとなりました。

内臓脂肪が増えると尿酸値が上がる研究結果

参照:血清尿酸値と内臓脂肪蓄積との関連 松下啓ら

こちらは痛風発作とBMIの関係性についてのグラフです。

BMIが上昇するほど痛風のリスクが高まるグラフ

参考:帝人ファーマ株式会社 尿酸下げるプロジェクト

こちらでは肥満度が上がるほど痛風発作が出ているとのことでした。
これらの結果から、体重や内臓脂肪が多くなると尿酸値が上昇、または痛風発作の危険度が高くなるという事がわかります。

尿酸は細胞やエネルギーの老廃物や燃えかすでしたね。
身長に対して体や体重が大きい人ほど細胞の入れ替わる量が多く、エネルギーを消費する量も多くなります。
すると自然に尿酸をつくる量は増えてしまいます。

また尿酸は80%が体内で作られ、20%が食事由来との報告があります。
尿酸が上がらない食べ物を探すより、まずは体重を減らすことから始めてみるのも良いかもしれません。

参考:ほしの内科クリニック

体重の目安

それでは体重の目安はどれくらいか?、ですね。
身長と体重のバランスであるBMI(体格指数)を使って調べることができます。
標準の範囲が18.5〜24.9までで、理想のBMIは22です。

BMIの正確な計算方法は、

体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)}

例えば170cm、64kgの人のBMIは64÷(1.7✕1.7)=22となります。


あまり正確ではありませんが、理想的な体重(BMI≒22)を知る簡単な式もあります。
理想体重=身長(cm)-110

という式で理想体重(BMI22)の目安も知ることができます。
みなさんの理想的な体重はどれくらいでしょうか?計算してみて今の体重と比較してみましょう。


食事でコントロール


痛風を抑える工夫は野菜を食べること

尿酸の元となる食材自体を控え、排泄を促す食材を食べるというのが食事コントロールの考え方です。

先にも述べたように、食事由来の尿酸は20%ほどと言われています。

ただ、たかが20%と油断をしてはいけません。尿酸は様々な要素が重なり合って上昇します。上昇する可能性のある食事についてもしっかり見ていきましょう!
また食事、食材には尿酸を上げる食材、下げる食材があるのでどちらも紹介していきます。

尿酸を上げるプリン体

食材の中で尿酸値を上げやすいのはプリン体という物質。
プリン体は核酸というDNAの中心を担う大変重要な要素です。
尿酸を上げる食材=プリン体を多く含む食材となります。
代表的な食材は表の通りです。

尿酸に関わるプリン体を含む食品一覧

食品の中では精巣、卵巣、内臓や、乾燥によって細胞が凝縮されている干物などに多くなります。
つまり細胞数が多いほどプリン体が多くなるということですね。

またビールは確かに尿酸値を上げてしまいますが、実はアルコール自体が尿酸値を上昇させる原因でもあります

アルコールが尿酸値を上げるメカニズム

引用:厚生労働省 e-ヘルスネット アルコールと痛風

このような図を見てみてもアルコールは尿酸が作られるのを促し、体内からの排泄を抑制していることがわかります!
ビールだけではなく、お酒そのものは適量にしましょう。

適量と言われるアルコールは1日20gです。

具体的な例は下図をご参照ください。

痛風予防のためのアルコール適正量

引用:サッポロビール株式会社 適正飲酒のススメ

尿酸を下げる食材=尿酸を外に出す食材

主に野菜類や海藻類です。理由は以下の2つです。

  1. 野菜類や海藻類に含まれるミネラルに利尿作用がある
  2. 酸性に傾いた血液を中和する働きがある

冒頭で尿酸は尿から排泄されることをお伝えいたしました。
その尿がたくさん出るように促すのが野菜に多く含まれるミネラルです。
またアルカリ性食品と言われる野菜類は尿をアルカリ性にすることで、尿酸の結晶化を防ぐ機能があります。

参考:日本水産株式会社 高齢化社会の食生活

 


水でコントロール


尿酸予防のために水を飲む女性

水の出納を考えるだけでも尿酸値をコントロールすることができます。

尿酸は尿として体外へ排出される

尿酸は尿に含まれて体内から体外へ出ていきます。つまり尿をしっかり出すことで体内の尿酸の量をコントロールすることができます。
ただし、尿は水分をしっかり取らなければ体が最小限しか作らず排出しません。
体に入ってくる水分が少なければ、体は外に出る水分の量を少なくして体の水分を保とうとするからです。

いかに水の代謝を回すかが重要

水分をしっかりとり体内の水を循環させることが重要なポイントとなります。
体の水分は一定に保たれているため、入ってくる水分は必ず体外に出ていきます。
排出する形は尿だけでなく、汗や呼気でもあります。
尿を排出する量が増えれば、尿酸も排出される量や機会が増えるため尿酸値の低下につながります。

水を飲む量の目安

それでは水をどれだけ飲まなければいけないのでしょうか?こちらは推定される数値から水分量を計算してみましょう。
それぞれ水分の目安は下記の通りです。

  • 体の水分量:体重の約60%
  • 血液:おおよそ体重の3〜5%
  • 1日に必要な水分量(簡易式):体重(kg)×35ml

例えば60kgの人は・・・

  • 体の水分量:60×0.6=36kg
  • 血液(約4%):60×0.04=2.4kg
  • 1日に必要な水分量:60×35ml=2100ml(2.1kg)

すると、血液量と1日に必要な水分量がほとんど同じであることがわかります。みなさんの血液を新しくするイメージで水分をしっかりとっていきましょう!


まとめ


いかがでしたか?尿酸を上昇させず痛風を予防するためには、

  1. 体重を適正にする!
  2. 食べ物を変える!
  3. 水を飲む!

こちらの3点に気をつけるだけで痛風の危険性ともおさらばです!

ただし、尿酸値が高いタイプもあります。

  • 尿酸排泄低下型(50%)
    →腎臓からの尿酸排泄機能が低下し体内に尿酸が蓄積するタイプ。
  • 尿酸産生過剰型(20%)
    →尿酸が作られる量が処理能力を超えてしまい、体内に尿酸が蓄積するタイプ。
  • 混合型(30%)
    →尿酸排泄低下型と尿酸産生過剰型が合併しているタイプ。

引用:ほしの内科クリニック

注意しても尿酸値が下がらない、痛風発作が出る時は病院にかかって原因を突き止めましょう。
その原因に応じた生活習慣を獲得できれば効果的に予防ができます。

尿酸、痛風についていかがでしたか?これからすぐに実践できることは見つかったでしょうか?
予防の観点から3つのポイントに気をつけて体重・食事・水に気をつけていきましょう。

 

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